*橙色の月が昇る4日目*


はじめに、僕のことをまとめてみようと思う。書いておかないと忘れてしまいそうだから。

ここは真っ白で真っ暗なところだ。すべてが真っ白であるが故に真っ黒。
この部屋にあるのは僕が今いる大きなベッドと、僕に繋がれたたくさんのコードと機械。
それからたったひとつの窓と扉。でもどちらも僕にはあけられない。
僕は動くことは疎か、実は声を発することもできない。
僅かにでも動かすことができるのは、この手だけ。

だから僕にはこの部屋だけがすべて。
僕は気づいたころからずっとここに一人で、ずっとこのコード達に繋がれたままだ。
この部屋が僕にとっての世界に同じ。

ああでも。窓を通して少しだけ見えるすぐそばの大通りと広場の様子なら少しだけわかる。微かに視界に入ってくるから。
でもそこに見える人達はみんな自分の行く道だけを見ている。

僕は今まで、一度も人と目が合ったことはない。



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同日連続upです。
っていってもおそらく僕はまとめて書いて、
ある日一気にupする形で更新していくと思います・・・;;
それではおつきあい頂きありがとうございました。

07.10.11

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